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加害者の更生と被害者の更生

大津イジメ事件|被害者感情と公共の利益の記事に対してコメントを頂きました。ありがとうございます。色々と考えるところがあり、せっかくなので返信記事を書きたいと思います。今後全てのコメントにたいして返信をお約束するものではありませんので、ご了承願います。


今回もイジメと加害者についての内容になります。人によっては擁護記事と捉える方もいるかもしれませんが、そういった内容ではありません。




匿名2012年7月31日 17:33
記事をとても興味深く拝読させて戴きました。以前、紛争国の紛争解決コーディネーターが、紛争国の少年ゲリラに銃を捨てさせ、殺戮を止めさせる為に、少年ゲリラに生活資金と住む家を与え、学校に通わせて教育を受けさせ、更生させる事でゲリラの数を減らすというプログラムを見ました。同じ学校には少年ゲリラに親を殺された子もいるのです。当然納得できないでしょう。でも「憎しみの連鎖では紛争は終わらない」とも言っていました。もしかしたらそれと近いですか?

まずはコメントありがとうございます。 紛争国の更生プログラムや更生の概念がどのようなものになっているのかは分かりかねますが、おそらく近いものだと思います。やはり、超厳罰化から矯正教育、更生へとシフトしているのが近代社会の風潮なのでしょうか。勉強不足で申し訳ないです。ただ、僕としては”親を殺された子供”に対するケアも加えてしていかなければ、”親を殺された子供”がゲリラに加わる可能性があると思います。憎しみの連鎖で紛争(犯罪)は終わらないというのは同意いたします。

被害者遺族と同じ空間にいることによって、被害者遺族の現状を目の当たりにし、贖罪意識を養う目的もあるのかもしれません。

少年院は刑罰の対象ではない

少年犯罪を含め昨今の刑事事件は厳罰化が叫ばれています。被害者感情の優先、メディアの報道を含め、残酷な事件内容や反省の態度が見受けられない加害者側の言動などが原因かと思いますが、まずこれらの考えを否定するつもりはありません。

ご存知の通り未成年者には少年法が適用され、成人の刑事事件と比べると拘束期間などを含めかなり減刑されています。ただ、成人の場合には刑罰としての懲役刑が用意され、少年法による拘束は全て”更生”を主軸においています。

現在日本における更生プログラムは、匿名さんがおっしゃったところによる”生活資金と住む家を与え、学校に通わせて教育を受けさせ”とほぼ一緒だと思っていただいてよいと思います。

被害者に対する謝罪意識や贖罪意識を芽生えさせることはもちろんとして、16歳以上の場合には資格取得を推奨し、仕事がないことによって再び犯罪を起こすことがないようにします。職業人としての自覚を身につけ~などといった段階別目標があり、犯罪に頼らず生活資金を稼ぐこと、働くことの大切さを教えるのも立派な教育となっています。中には測量士補が取得できる施設もあります(現在は廃止されているかもしれませんが・・・)

16歳以下の場合には外部講師によって義務教育がなされ、出院後に高校に進学できるレベルまで教育を施します。中学2年生から3年生まで在籍していると、因数分解や√の計算がスラスラできるようになるレベルです。(個人差はあります)大検(現高卒認定)が取得できる施設もあったと思います。

これらの資金は全て税金によってまかなわれています。国民のお金です。

犯罪者が国民のお金で飯を食って、資格を取って、勉強して、いいかげんにしろ!被害者は泣いてんだぞ!


ごもっともです。そして現在少年院で教育を受けている少年たち皆が毎日のように耳にし、自覚していることだと思います。

憎しみの連鎖

何故加害者ばかりが優遇され、被害者ばかりが我慢しなければならないのか。悪いのはアイツら(加害者)ではないのか。なぜ、涙を流し、心を痛め、加害者が報復に来るかもしれない恐怖に怯えながらも、それに加えて社会復帰まで応援しなければならないのか。どこに怒りを憎しみをぶつければいいのか。

こういった感情は正しいものです。誰しも虐げられ傷つけられれば憎しみを抱くものです。そして今まで放置されていた被害者の感情は、被害者団体などの活動の成果によって着実に実を結んでいます。先ほども申し上げたようにこれらが間違っているとは思いません。むしろ、被害者の支援をもっと手厚くしていかないと犯罪は増加すると思っています。

ただ、出発点を見つけることが非常に難しい問題でもあります。

非行少年が生み出される原因として、家庭環境・学校環境・地域環境など様々な要因が考えられます。これは僕の交友範囲内で経験したことなので、全てに当てはまるとは限りませんし間違っているかもしれませんが、少年院長期処遇を受けるまで非行が進んでしまっている少年は、そのほとんどが幼少期から少年(小学生など)時代になにかしらの被害を受けているということです。何度も言いますがもちろん全ての非行少年が当てはまるわけではありません。

家庭内で言えばDV・ネグレクト(育児放棄)、学校内で言えば生徒や教師からのイジメ、地域に関しては犯罪被害、今は減ってきていることだと思いますが差別などです。

たとえば被害者遺族の会が発行している文集(書籍?記憶が曖昧で申し訳ありません)の中に、被害者遺族の子供が受ける影響として非行があります。かなり簡潔に表すと

被害者になる→両親や兄弟が憎しみや怒りの感情による八つ当たり、無気力さによる育児放棄→自分は誰からも必要とされていないなどの自虐心→非行

その非行が万引きや喫煙などの軽度な非行で立ち止まってくれたらいいのですが、強盗や傷害致死などの重大事件を起こしてしまった場合どうすればいいのでしょうか。

犯罪被害者だからって育児放棄した家族が悪いのでしょうか。
育児放棄されたからって非行に走る少年が悪いのでしょうか。
被害者遺族を作りだした加害者が悪い。そうです。はじめの加害者が悪いんです。
では、はじめの加害者が幼少期より毎日のようにDVを受けてきた少年だったら誰が悪いんでしょうか。
毎日DVを受けたくらいで犯罪をしてしまった加害者が悪いんでしょうか。
DVをし続けた加害者の親が悪いのでしょうか。
加害者の親がまたその親から育児放棄や学生時代にイジメを受けてきたせいでDVをしたとしたら誰がわるいんでしょうか。
育児放棄やイジメを受けたくらいで子供にDVをしてしまう加害者の親ですか?
またその親ですか?学生時代の同級生ですか?

イジメ・DVなどの単語を使用していますが、全て犯罪行為であり犯罪被害者です。これは犯罪の発生原因を他人や社会のせいにしようとする責任転嫁の話ではありません。

憎しみの連鎖とは主に、「被害者が加害者を恨み、阻害し、孤立させ、社会の一員として認めないことによって再び犯罪に手を染めさせてしまう。」というものと「被害者が加害者はもとより何もしてくれない周囲、社会、政治、子供ならば大人、両親、教師などを恨み、怒り、憎しみ、歪んだ精神状態によって他者を傷つける行為(非行・犯罪・虐待)をしてしまう。」といったものがあると思っています。小学生の頃にいじめられていた少年が中学に入ってから不良になる話など多くありますが、なにも不思議なことではありません。「人の痛みをしっているぶん、優しい子になるはず」というものとはまた少し違います。

これらは幼少期など低年齢であればあるほど人格形成に悪影響を与えると思いますし、矯正教育も低年齢であればあるほど効果を発揮できると思います。

ただ、未成年のうちなら矯正教育が必ずできるかというと疑問が残りますし、どれだけ被害を受けようとも人を殺してしまうほどの歪んだ人格形成の原因とは認められないのが現状なので(被害者遺族の感情を鑑みて今後も認められることはないと思います)表沙汰になっていない被害者側の早期発見が重要です。

余談ですが、成人の場合には「手遅れ」だと判断され刑罰が与えられています。何十年もそのような環境に身を起き、価値観や規範意識を強制するのは容易ではないとの考えで教育ではなく罰を与えているはずです。

憎しみの連鎖を断ち切る

加害者側が自身のおかれている立場や現状を理解し更生の道を歩むことができるようになっても、やはり被害者が我慢することによって連鎖を止めたとは思いません。被害者自信が加害者になる可能性はもちろんのこと、被害者が成人し親になったときに子供に負の連鎖が引き継がれる可能性もあるのです。犯罪二次被害とでも名づけましょうか。

加害者が更生し、幸せな家族を築くことができるかもしれない。だけど私たち被害者は一生心に傷を負い、それを背負って生きていかなくてはならない

これは、加害者側は矯正教育などを受け人格の矯正などに成功したとしても、被害者側は歪んだ精神状態を一生維持しつづけなければならなず、自力でどうにかしないといけないということだと思います。また、本人には自覚がなくても犯罪被害を受けた時点で歪んだ人格が形成されている可能性があるのですから、被害者側にもメンタル的なサポートが必要不可欠だと思います。

まとめ

僕が思っている更生に関する考えは以上です。

誰しも強い人間ならばこんなことを考えなくてもいいのかもしれません。虐待ごときで、イジメごときで、育児放棄ごときで、差別ごときで、片親ごときで、犯罪被害者ごときで、俺はそういった逆境を乗り越えてきたんだ。甘えるな。といってしまうのは簡単です。出来ない者を蔑むのではなく、出来た者を褒める、出来ない者を支援する、そういったことは難しいのでしょうか。


僕の考えを簡単に言うと、真っ白な状態から加害者が生まれるのではなく、被害者の連鎖の中で加害者が生まれ被害者を増やし続けていくというものです。そして、第一に優先しなければならないのは加害者になる前の被害者を救うことです。加害者のケアなどは後手後手の行為に過ぎません。もちろんこの世から虐待やイジメはなくならないかもしれません。ただ、虐待やイジメを受けた子供を救うことはできるはずです。そういった被害者のケアを十分にすることによってゼロにはならないでしょうが、少年犯罪は減少すると思っていますし、たとえ加害者になってしまったとしても少年のうちから矯正教育を施すことによって成人による刑事事件つまり新しい被害・憎しみの連鎖も減少するものだと思っています。

被害者の我慢とは、「全ての感情を押し殺して加害者の更生を応援しろ」だとか「辛くて苦しい気持ちを押し殺して善人であれ」と言っているわけではありません。逆に全て吐き出さなければならないことだと思いますし、そうしなければ乗り来れられない大きな問題です。そのためのケアが必要だと思っています。


この記事を最後まで読んでいただ方のなかには「被害者が犯罪予備軍のようで不愉快だ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。「完全に責任転嫁による加害者擁護だ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、誰しも被害者になる可能性があるということ、自身は大丈夫でも身近にいる子供に悪影響を及ぼす可能性あるということ、その子供が加害者になってしまう危険性もはらんでいるということ、どこかの大学で学んだわけでもなく専門家でもない僕の戯言ですが、頭の片隅にでも残しておいてくだされば幸いです。



匿名さん
途中から脱線してしまいましたが、いかがでしたでしょうか。憎しみは憎しみしか生まない。なんて簡単な言葉で済ましたくなかった僕の変な性格ゆえ、えらい長文になってしまいました。
コメントをいただけたことによってこの題材について考えることができたのですから感謝します。ありがとうございました。



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1 件のコメント:

  1. コメントに対し、記事を下さりありがとうございます。
    仰られる事とてもよくわかります。私も被害者家族だからです。子供が被害にあった時、私達は被害届を出しませんでした。
    加害者が幼い時から母子家庭であり、彼が私達の子供にした行為は加害者の母親が、加害者が幼少の折から感情の赴くままに彼に対して行っていた行為をそのまま、自分も実行に移したに過ぎない事を知っていたからです。
    加害者は当時、無職で住所不定でした。もし加害者に前科が付けばおそらく社会復帰は無理だろうと思われました。
    被害者である子供は、不眠、過眠、夜驚、過食、拒食、幻覚、幻聴、対人恐怖などのPTSDに苦しみ、2年以上人間らしい生活が出来ませんでした。
    今は人並みに過ごしていますが、親が見てもその心には未だに埋め難い闇があります。
    子供が加害者の立場になってしまわないよう私達は常に注意深く接していかなければなりません。
    一般の方には理解し難いかとも思いますが、被害者と言うのはいつも加害者の更生を気にい掛けているものです。
    これは私達だけで無く多くの被害者に共通するものです。
    苦しみが大き過ぎる時、被害者の私達がこんなに苦しいのであれば被害者の心中は如何程であろうかと案じてしまうのです。
    被害者と加害者はとても近いのです。
    大津のお父様も加害者の更生を願われました。光市母子殺人事件の被害者家族も加害者が更生するにはと発言していました。
    サレジオ学園の事件の加害者は少年院で学び弁護士にまでなったそうですね。
    うまくまとまりませんが、コメントありがとうございました。
    記事にとても共感し、一言寄せさせていただきました。

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